排水管


住まいの敷地内の排水は、汚水(屎尿など)、雑排水(キッチンや浴室などからの排水)、雨水の3つに大別されます。これらの処理方法も、公共下水道が完備された市街地などにおける直流方式と、各戸に浄化槽を設ける方式に分かれます。ご自分の住まいがどの処理方法を採っているかは、管轄の水道局で確認しておきましょう。

日常のお手入れ

排水管内に排水中の脂肪分などが付着することにより、排水の流れが妨げられます。また、ヘアピンなどの異物が入るとゴミや毛髪、糸くずなどがからみ、つまりの原因となります。日頃より、キッチン流し台や浴室排水口のまわりはきれいにしておきましょう。

市販のパイプ洗浄剤を使用することは、脂肪分を落とすのにある程度有効です。ただし、パイプ洗浄剤は即効性や方面性のあるものではありません。

2~3年に1回、高圧洗浄を実施されることをおすすめします。

エコ

 

重曹と酢を用いたナチュラルクリーニング

 

排水口も、重曹と酢を使ってお掃除してみましょう。

重曹1/2カップほどを排水口に振り入れ、次に、酢1カップを重曹の上に少しずつ流していきます。シュワシュワと泡がでてきて、汚れを浮き上がらせます。そのまま30分放置して、お湯で流します。

このときに発生するシュワシュワは、二酸化炭素なので無害です。ただし、市販の洗剤に酢を混ぜるのは危険です。特に塩素系漂白剤や洗剤に混ぜると有毒ガスが発生しますので、絶対にしないでください。

トラップ


排水管にはトラップという、排水管内に水をためた部分により管内の臭気を遮断する仕組が採用されています。トラップにはその用途に応じていくつかの種類がありますのが、住宅で一般に使用されているものは椀型トラップ(ワントラップ)、管トラップ(Pトラップ、Sトラップ)などであり、封水の深さは5~10cm程度です。

»家庭内の主な排水トラップ

排水トラップ

日常のお手入れ

トイレや浴室の床、洗濯機置き場の排水口など、水が流れる頻度が少ないと封水が蒸発し、悪臭の遮断ができなくなります。ときどき排水口に水を流し込み封水を確保しましょう。

»椀型トラップ

浴室の排水口や洗濯機置き場の排水口がこれに該当します。週に1度は、目皿から椀を取り外して掃除しましょう。

»管トラップ

洗面台、キッチン流し台などの排水管がこれに該当します。排水方法によりS型(床排水)またはP型(壁排水)などがあります。お掃除にはモンキーレンチ等を用いた分解が必要になります。

排水ます


排水ます屋外排水の合流点、分岐点などに設けられ、一時的に排水を貯留し、流量の調整をするものです。

 

 

 

 

公共下水道には、「分流式」と「合流式」の2種類の排水方式があります
»分流式下水道

分流式下水道汚水(生活で使用され汚れた排水)と雨水を別々の管で分けて流す方式です。

トイレ、ふろ、洗濯機、キッチンからの排水は、宅地内の排水管及び排水ますを通り、敷地境界の近くの敷地内に設定されている市などの自治体が設置・管理する公共ますや取付管を通って、敷地外の公共下水道管(本管)で集められ、下水処理場に流入し、きれいな水に処理されて川や海に放流されます。

雨水は、雨水管や道路側溝で集められそのまま川や海に放流されます。

»合流式下水道

合流式下水道汚水と雨水を公共下水道管で合わせて一つの管で流す方式です。集められた汚水と雨水は下水処理場に流入し、きれいな水に処理されて川や海に放流されます。工事が容易で下水道を早期に普及させることができるため、早くから下水道を整備した地域でよく用いられています。

 

 

 

日常のお手入れ

排水ますは、塀の設置、庭土の盛土、植木によるものや環境(地震、地盤凍結によるますますの凍上、地盤沈下)などにより損傷が非常に多く発生しますので、日頃から注意することが大切です。

排水ますも汚水・雑排水・雨水用の3つがあります。なかでも雑排水ますは、もっとも汚れやすい所です。半年に1回程度の掃除を心掛けましょう。ふたを開けゴミなどの異物を取り除き、台所や浴室などから水を流して汚泥の掃除をしてください。

排水ます3種

»インバートます

汚水用ますで、流れをスムーズにできる溝が底部についています。

»ためます

主に雨水(雨どい、庭などからの排水)処理に用いられます。そこが泥だめになっており、底に土砂やゴミを沈殿させる仕組になっていますので、月に1回は排水溝と合わせてためますの清掃を行いましょう。

»トラップます

ためますにトラップの機能を与えたもので、キッチンなどの排水処理に用いられます。月に1回はパイプの口とますの内部清掃を行いましょう。

浄化槽


浄化槽は、微生物の自然浄化力を巧みに利用して、汚水を分解浄化する装置です。

比較的安価に、短い工期で設置でき、下水道と同等の放流水質まで浄化槽の処理機能が向上しているので、現在では公共下水道と並ぶ浄化処理の方法として、役割はますます大きくなっています。

浄化槽には多くの処理方法や小スペースでも施工可能なコンパクト型があり、ここでは一般住宅において使用される家庭用合併処理浄化槽について説明します。

汚水はまず「嫌気ろ床槽」に入ります。ここで汚水中の浮遊物を取り除き、「ろ材」についている「嫌気性微生物」が汚水の中の有機物を分解します。さらに隣の「嫌気ろ床槽(第2室)」に入り、同じ処理を繰り返します。

次に、「接触ばっ気槽」に入り、十分空気が送り込まれている状態で、汚水が槽の中を循環し、「接触材」についている「好気性微生物」が有機物をさらに分解します。

次に、「沈殿槽」に送り込まれて、汚水を浄化した微生物の塊(汚泥)は沈み、上澄み水を「消毒槽」へ送ります。

最後に「消毒槽」では、上澄み水を塩素で滅菌・消毒し、衛生的に安全な水にして放流します。

浄化槽

 

日常のお手入れ

便器や風呂の掃除の際、塩酸等の劇薬や強力な洗浄剤を使うと、浄化槽内の微生物が死滅してしまいますので、絶対に使わないようにしてください。

浄化槽は適切な利用管理を怠ると、機能低下による害虫発生や、浄化槽内への落下事故などに至るおそれがあります。

上記の記載事項をご注意いただくとともに、浄化槽の取扱説明書の指示に必ず従ってください。

注意すること
  1. 家庭用合併処理浄化槽は、一般に嫌気性微生物と好気性微生物を利用して、汚水を処理するタイプのものが普及しています。特に好気性微生物を利用する接触ばっ気槽は、送風機によって空気を送り込んでいますので、電源を切ってしまうと槽内の微生物が死滅し、機能が停止してしまいます。絶対に電源を切らないようにして下さい。
  2. キッチンから出る調理クズ、残飯、天ぷら油などは流さないようにして下さい。
  3. 浄化槽上部のマンホールの蓋は、ずれたり外れたりすると大変危険ですので、きちんと閉めてロックして下さい。特にお子様にはお気を付け下さい。
  4. 消毒液は切れないように定期的に補給しましょう。

ワンポイント

 

浄化槽の管理

 

浄化槽設置者には、設置の届出、市町等の登録を受けた業者による設置工事、市長等の登録を受けた浄化槽保守点検業者による保守点検、使用開始報告届、市町村長の許可を受けた浄化槽清掃業者による清掃、法定検査(定期検査)など、様々な義務が生じています。

詳しくは下記のサイトまたは、各市町村等の河川・下水道管理課などのサイトで確認してみましょう。

環境省の浄化槽サイト

全国浄化槽推進市町村協議会

部位別お手入れ方法