板張り床(フローリング・縁甲板)


現在、洋室の床としては、板張り床が最も一般的です。木材の自然に持っている性質により、季節により乾燥収縮が起こり、まれに反り、収縮や割れが起こったり、わずかな変形による軽微な床鳴りが発生したりすることもありますが、多少のことであれば心配いりません。

日常のお手入れ
»毎日のお掃除

木材は、水分を吸収・放出する調湿機能がありますが、水分を吸収・放出する時には伸縮も伴うので、激しい乾湿の繰り返しなどがあると、表面の細かいひびや、反りや隙間などが生じる恐れがあります。水気には十分に注意が必要なので、お手入れにあたっては、まずなるべく水を使わないことを心がけて、次のような手順で行いましょう。

  1. 大きなゴミやほこりを掃除機やほうきで取り除きます。
  2. 小さなほこりや汚れは、乾いた雑巾やモップでから拭きします(ぬれ雑巾は使用しないで下さい)。
  3. 市販の床用お掃除シート等を使用して、汚れを拭き取ります。
»汚れがひどい時

汚れがひどい時は水拭きをします。

  1. 水でぬらした雑巾を固く絞って汚れを拭き取ります。
  2. きれいになったら、乾いた布で水分を十分に拭き取ります。さらに汚れが取れない時は、洗剤を利用します。

さらに汚れが取れない時は、洗剤を使用します。

  1. 住宅用洗剤(中性もしくは弱アルカリ性の木質床材に使用できることを確認したもの)を薄めた液でぬらした雑巾を固く絞って拭き取ります。
  2. きれいになったら、水でぬらして固く絞った雑巾で洗剤分を拭き取り、さらに乾いた布で水分を十分に拭き取ります。
»ワックス掛け

擦り傷・シミの予防には、定期的にワックス掛けをします。転倒防止のため、必ずすべり止め剤入り木質床用ワックス(ニス塗り木質床用、塗装木質床用と表示されたもの)を使用しましょう。
樹脂ワックスを用いる場合は、特に厚塗りに注意します。厚く塗り過ぎると、歩行時にワックス皮膜の割れる音が発生することがあります。
ワックスは全体を塗る前に目立たない部分に塗って、変色などが起きないことを確認して下さい。そしてワックスを全体に塗ったら、ワックスが完全に乾燥するまでは窓を開け、風通しをよくしましょう(カラッと晴れた日の乾燥時間は冬で1時間、夏で30分程度)。

 

ワックス掛け時期の目安は以下の通りです。
(使用するワックスにより多少異なるため、事前に取扱説明書を確認)

水性ワックス・・・2~3ヶ月に1回
樹脂ワックス・・・2~3ヶ月に1回
油性ワックス・・・1ヶ月に1~2回
縁甲板などの無垢の単一材を使用したものは月に1回

ワンポイント

 

ワンポイントアドバイス

 

ワックスの商品説明書を確認して、適するものを使用するようにしましょう。木質フローリングにはワックス不要のものもありますので、フローリングの仕様・性能をよく確認しましょう。

注意すること
    • 一箇所に重みを集中させない

木材は柔らかいので、重さが一点に集中すると、その部分がへこんでしまします。ピアノなど重いものの脚部には、小さな板等を敷き、重量を分散させるようにしましょう。

    • 塗装を傷つける摩擦をさける

木質床材の表面塗装は物の移動による摩擦で傷つくことがありますので、椅子の足などにはゴムキャップやフェルトなどを付けましょう。

    • 暖房器具や直射日光などによる熱や乾燥を防ぐ

木質床材は、床の温度や湿度の変化が激しいと、膨張や収縮の繰返しで塗装や表面化粧板、基材等がひび割れを起こすことがあります。エアコンなどを長時間連続使用すると、乾燥し過ぎるので、時々スイッチを切る、または加湿器などで適当な湿気を補うように注意しましょう。
また、電気カーペットや温風ヒーターなどを利用する場合は、熱が直接フローリングに加わらないよう、その下に断熱性のある専用シート(または毛布など)を敷くなどの工夫をするとよいでしょう。
また、直射日光が当たる場所では、紫外線で塗膜が酸化し、劣化等が生じることもありますので、カーテンやブラインドなどで光をさえぎるようにしましょう。

    • シミの原因になる水分をしみ込ませない

木質床材の板と板の継ぎ目の部分や、表面塗装が劣化した部分から水がしみ込むと、表面材の割れやはがれが発生します。
また、裏側に防音のためにクッション材を張ってある床材の場合には、水分でクッション材にカビが生えて、臭くなることもあります。水・コーヒー・醤油などをこぼしたら、乾いた雑巾などですぐに拭き取りましょう。

 

カーペット床


洋室の床仕上げ材として止付け金具で敷き込む場合と、床板などの上に置くだけの場合があります。

日常のお手入れ

カーペットは毛足の短いものから長いものまで種類は豊富です。こまめに掃除することによりダニの繁殖を軽減することができます。特に掃除のしにくい隅部や家具の後ろは、ついついおろそかになりダニの住みかになってしまいます。重い家具などは移動するのが大変なので、できる範囲で掃除を心掛けましょう。
また、天気のよい日は窓を開け風通しをよくしましょう。余分な湿気を放出してカビの発生防止になります。

»毎日のお掃除

日頃のお掃除は、掃除機で毛並みにそって毛足を傷めないよう行います。また掃除機では取り除きにくい、毛髪や綿ぼこりなどは、市販の粘着ローラーや洋服用エチケットブラシ(毛足の長いものであればヘアーブラシ)を利用すると便利です。
手でさわって、色が濃くなる方向にナイロンヘアーブラシをかけ、パイル(毛足)を起こし、奥にもぐり込んでいるホコリを浮き上がらせます。その後、毛並みにそって(パイルを寝かす方向に)掃除機をかけると、見違えるほど清潔になり、毛足の感触もよくなります。
部分的な汚れは、市販のカーペット用洗剤か住宅用洗剤を薄めたぬるま湯を用い、固絞りの雑巾で、汚れの外側から内側に向けて目なりにたたくようにして拭きます。むやみにこすると汚れが周辺に広がってしまうので気をつけましょう。

エコ

 

重曹を用いたナチュラルクリーニング

 

カーペットに重曹を振りかけてしばらくおいてから掃除機で吸い取ると、臭いや汚れがとれます。

 

»簡易クリーニング

全体が薄汚れてきたら、市販のカーペット用洗剤や中性洗剤で簡易クリーニングを行いましょう。

  1. 固く絞った雑巾をおしぼりのように巻いて毛並みにそったり、逆らったりして拭きます。
  2. 雑巾は5~10枚を最初から用意しておき、汚れたら取り替えます。
  3. 最後に乾いた布で水気を十分に取り、窓を開けて風通しをよくして乾かします。
»大掃除

床仕上げ材として止付け金具で敷きこんでいる場合を除き、年に一度戸外で裏返して、半日ほど干し、裏から軽くたたいて奥深く入り込んだほこりを出しましょう。

また、1~2年に一度は本格的なクリーニングをすることが望ましいでしょう。できれば専門のクリーニング業者に依頼しましょう。また、6~10年を目安に敷替えを検討しましょう。

»家具などによるくぼみの修復

くぼみの補修には、へこんだ部分にスチームアイロンの蒸気を掛けて蒸し、倒れている毛並みの逆から掃除機を数分間あてて起します。仕上げに、元の毛並みにそって手でならすと目立たなくなります。
この時、直にアイロンをカーペットの上に置かないように気をつけてください。純毛以外のカーペットであれば、洗濯用の柔軟仕上剤を水でうすめたものでくぼみを湿らせ、軽くスチームアイロンをかけてもよいでしょう。

»カーペットにシミがついた場合の対処方法

シミは、内部に染み込んで乾かないうちに素早く処理しましょう。

    • 水溶性のシミ:(醤油、お茶、コーヒー、酒、ジュースなど)

ティッシュペーパーや乾いた布で水分を取り、塩を掛けておきます。塩が湿ってきたら、歯ブラシで食塩を浮き上がらせる感じでこすり、掃除機で吸い取ります。その後、住宅用洗剤を薄めた液を布につけて拭き取って下さい。

    • 油溶性のシミ:(化粧品、クレヨン、機械油、チョコレート、マヨネーズなど)

ティッシュペーパーや乾いた布で水分を取り、ティッシュペーパーや乾いた布に染み込ませたシンナーやベンジン(カーペットに直接たらさないでください)をシミ部分に押しあて汚れを溶かします。その後、乾いた布で汚れを吸い取り、シミが取れたらその部分に住宅用洗剤を泡立てた泡をのせて、歯ブラシでこすります。シミの部分よりもやや広めにこすり、境界線がわからないようにぼかすのがポイントです。
仕上げにお湯で絞った布で拭きます。

    • ガム

ポリ袋に入れた氷で冷やし、固まってからヘラなどでこすり取ります。その後、ベンジンで残りをつまむようにして取り、最後に水拭きしてください。

    • インク、墨汁などのシミ

広がらないうちにティッシュペーパーで水分を取り、お湯を含ませたスポンジでたたくようにして拭き取ります。最後に水またはお湯で固く絞った布で拭きます。

 

エコ

 

酢を用いたナチュラルクリーニング

 

水溶性のシミには酢をたらして、十分含ませた後、水を含ませた布で吸い取ります。そして、ティッシュペーパーなどで汚れをつまむように取り除き、酢をつけた雑巾で、外側から内側にとんとんたたいて仕上げに水拭きします。

 

»ペットの糞尿

ペットの糞尿は、熱湯で固く絞った布で叩くようにして拭いた後、酢をつけて拭き、更に水拭きと十分なから拭きをするときれいになります。

注意すること

床にピアノや大きな書棚などの重量物を置く場合には、あらかじめ床組の補強がなされている部分に配慮するようにします。また、2階に重量物を置くことは極力避け、やむを得ず置く場合には、住まいの専門家に根太の補強を依頼しましょう。
以上を怠ると床が抜けるなどの事故が発生するおそれがあります。

たたみ床


本来、たたみは稲わら床にい草の表を縫い合わせたもので、我が国の気候風土に適した材料であり、保湿性、調湿性、感触のよさが得られる半面、変色しやすく、吸水性があり、ダニ・カビが発生しやす面もありますので、日常のお手入れが重要です。

最近ではたたみの材料は、従来の稲わらからポリスチレンフォームやプラスチックにかわりつつあり、従来よりもお手入れが楽なものになってきました。

日常のお手入れ

畳は直射日光に当てると黄色く変色しますので、直射日光にさらさないように注意しましょう。
また、たたみの上にカーペットなどを敷くことは、畳を蒸らしダニやカビの発生の原因となるので極力避けましょう。

»毎日のお掃除

たたみの目にはホコリがたまりやすいので、ほうきや掃除機で掃除しましょう。
その際、畳の目にそって掃除することが、畳を傷めずきれに保つコツです。

エコ

 

酢やお茶の葉を用いたナチュラルクリーニング

 

畳全体が汚れている時は、掃除をした後に、住宅用洗剤を薄めたぬるま湯(水よりも畳表の乾きが早くなる利点があります)や酢水(酢1:水4)で雑巾を固く絞りさっと拭き、最後に十分から拭きしましょう。酢水で拭くことにより。汚れを落ちやすくするだけでなく、畳表の日焼けを少し遅くする効果もあります。日当りの良い部屋では特にお勧めします。

また、出がらしのお茶の葉を水につけてアクを抜き、ギュッとしぼり、たたみにまく方法もあります。お茶の葉と一緒に畳の目にそってほうきで丁寧に掃き、乾いたぞうきんでカラぶきします。

»大掃除

年に1回は晴れた日にたたみ干しをします。まず、畳の裏面を日光に当てて、しばらくおいてから、マスクをして軽くたたき、ほこりを出して、掃除機をかけます。干す場所がない場合は、たたみを上げて下にびんや缶などを置き、たたみの裏面に風を通すだけでも効果があります。さらに部屋全体に除湿機などをかけて空気を乾燥させると、防カビや防ダニの効果も得られます。ダニ退治のためには、市販の防虫剤の散布も効果的です。
畳みを敷き込む時は、元通りに配置しないと隙間ができたり、入らなかったりする場合があります。干す前に目印をつけて同じ位置に戻すようにします。畳の表替えは2~3年を目安に行い、初回は裏返して使用し、次回は畳表を取り替えましょう。

»畳にシミがついた場合の処理方法

塩素系漂白剤を水で薄めて綿棒でシミ部分に塗ると、数分で脱色されて美しくなりますただし、濃度が高すぎると畳の青さまで漂白してしまうので、ご注意ください。


インクをこぼした時

牛乳で湿らせた布で叩くように拭き取ります。


 

醤油・油などをこぼした時

こぼした上に粉末の洗剤・クレンザーをふりかけ、充分に液体を吸い取らせてから掃除機で処理し、その後固く絞った布で何度も拭きます。


クレヨンがついた時

クリームクレンザーをごく少量、乾いた布につけ丁寧にこすります。


フェルトペンがついた時

油性の場合はマニキュアの除光液またはラッカーうすめ液で拭き取り、水性の場合はクリームクレンザーで拭き取ります。


焼き焦げを作った時

タバコの様に小さい場合は中目のサンドペーパーで黒こげを取ります。大きな焦げの場合はサンドペーパーで取り除いた後、応急処置としてロウをたらして穴を埋め、平らにしておきます。


»畳のカビ取り

畳にカビが生えるのは、湿気が多い為です。「大掃除」の欄を参照して、天気の良い日にたたみ干しをしましょう。
次に、消毒用アルコールを布に染み込ませカビを拭き取ってから掃除機で吸い取り、風を通して乾燥させます。具体的には以下の手順で行います。

※カビが飛び散り危険なので、必ずマスクとゴム手袋を身に付けましょう。

  1. 窓やドアを開け、換気扇をまわし、換気をよくします。
  2. 消毒用アルコール(エタノール70%~80%濃度)をスプレー容器に入れ、カビ全体に吹き付けて、15分程度放置します。
  3. エタノールを少量、別容器に小分けして、使い古した歯ブラシ(範囲が広い場合にはナイロンブラシなど)の先にエタノールをつけながら、畳の目にそってカビをブラシでかき出します。
  4. かき出したカビをブラシですくって、小分けしたエタノールの中でブラシを洗います。
  5. 上記4の作業を繰り返して、畳のカビ部分を取り除きます。(小分けしたエタノールの中で、ブラシを洗いながら行います。汚れたエタノール液は、何度か交換して下さい。)
  6. 最後に、全体にエタノールを吹きつけながら、乾いたぞうきんで拭き上げていきます。
  7. 掃除機を全体にかけ、残ったカビを吸い取ります。
  8. 風を通して、たたみをよく乾燥させます。
»家具などによるくぼみの修復

畳についた家具の跡は、へこんだ部分に軽く霧をを吹き、お湯で濡らして固く絞ったタオルを当てて、その上からアイロンを掛けると、かなり元に戻ります。後は、窓を開けて充分に乾燥させます。ドライヤーを使えば素早く乾かせます。

»ペットの糞尿

熱湯で固く絞った布で叩くように拭いた後、酢をつけて拭き、更に水拭きと十分なから拭きをして下さい。

ワンポイント

 

床の間のお手入れ方法

 

床の間の地板や書院天板、違い棚などは水拭きすると保護膜がはがれ、表面のつやが損なわれますので、から拭きを心掛けます。お手入れの際は、市販の専用ワックスを利用するほか、ぬかやお茶がらを乾燥させたものを入れた布袋で磨く昔ながらの方法により、つやだしができます。

 

ビニル系の床(長尺塩ビシートなど)


一般にクッションフロアと呼ばれ、洗面所、トイレ、キッチンなどに多く使われています。

日常のお手入れ
»毎日のお掃除

普段のお手入れは、固く絞った雑巾で拭き掃除をします。汚れが目立つ場合は、お湯で薄めた中性洗剤を使って拭き取った後、水拭きしましょう。定期的にクッションフロア用ワックスで磨くと、より長持ちします。

注意すること

クッションフロアはビニル製のため、鍋、やかん、フライパンなど熱いものを直接置かないようにしましょう。
また、クッションフロアは厚さ2~5mm程度のクッション材を含んでいるため、表面が柔らかく、傷やへこみがつきやすいので、重い物や、とがった物を落とさないように注意しましょう。

玄関床(土間)


玄関は屋内と屋外の接点であり、家の顏です。いつもきれいに保ちましょう。

日常のお手入れ

玄関の汚れは、戸外からの土ぼこりや泥が主なものです。庭先やポーチの砂や泥を掃除する、玄関マットを置くなどの工夫をすることが有効です。また、週に1度はポーチの水洗いをしましょう。

»鉄平石・つや消しタイル

土ぼこりを掃き出した後、水洗いし、から拭きします。月に一度位の割合で、油性ワックスを掛け、布でよくすり込み表面の油のつやが消えたら布を取り替え、十分にから拭きします。

»磁器質タイル

普段は水拭きとから拭きだけで十分です。汚れのひどい時は、たわしで隅々までこびりつた汚れをこすり落とします。月に1度位の割合で、鉄平石・つや消しタイルと同じ要領で油性ワックスを心掛けましょう。

ワンポイント

 

住まいに使われる石

 

住まいの中には、大理石や御影石などの天然の石が使われている場合があります。

石は重厚感や高級感がある魅力的な材料ですので、適切なお手入れをして、長くその美しさを保つようにしましょう。

大理石は目に見えない小さな気泡をたくさん持っており、吸水性が高いので、汚れた水分や油分が染み込むと、石の中に浸透してシミや汚れになってしまいます。
洗面室等の床が大理石貼りの場合は、必ずマットなどで水分を防ぎ、玄関タタキなどで水気のあるものをこぼした場合は、すぐに拭きとることが大切です。御影石は大理石よりも硬く密度の高い石ですが、同じように小さな気泡を持っていますので、同様に水分に注意が必要です。
また、大理石・御影石は、酸性のものに弱いので、洗剤を使う場合は中性洗剤を使用するように注意しましょう(必ず目立たない所で試してから使いましょう)。

部位別お手入れ方法